真多呂人形とは
280年の伝統技法を現代に受け継ぐ真多呂人形
木目込み人形発祥「上賀茂神社」認定、唯一の正統伝承者
「木目込み人形」の技を継ぎ、磨き上げられた伝統技法を現代に伝えるのが真多呂人形です。
大正8年創立の真多呂人形は、江戸時代の元文年間からおよそ280年受け継がれてきた伝統工芸品である木目込み雛人形・五月人形などを制作しております。
いまからおよそ280年前の江戸元文年間に、京都の上賀茂神社に仕えていた高橋忠重が作った人形が「木目込み人形」の始まりとされています。
現在の木目込み人形は、明治以降様々な変化を経て発展しました。東京の人形師・吉野栄吉が京都から木目込みの技術を持ち帰り、これに改良を加え、現代木目込み人形の基礎を築きました。
初代金林真多呂は栄吉の息子の喜代治に師事、新たに創意工夫を加えて、独自の雅やかな真多呂人形を完成させたのです。
上賀茂神社から木目込み人形の正統伝承者として認定を受けているのは真多呂だけです。
経済産業大臣指定 伝統的工芸品の技
技を継ぎ、磨き上げられた伝統技法を現代に伝える、真多呂の木目込み人形。
数々の工程を重ね、職人の丹精こもる技から生まれる雅やかな逸品は、伝統工芸品として指定され、高い評価を得ています。
真多呂人形 作者紹介
正統伝承者である初代・金林真多呂が伝統的な技術を忠実に受け継ぎ、二代目が現代の新しい感覚を取り入れつつ、人形制作を総合芸術として高めてきました。
そして現在、三代目・金林真多呂が想いを引き継ぎ、さらなる真多呂人形の発展のために尽力しております。
三代目 金林真多呂 プロフィール
日本の伝統芸術に興味をもち、父 、二代目真多呂について技術を学ぶ。日展評議員嶋田秀男氏、日展会員・日本彫刻会会員山崎茂樹氏に師事し、彫塑、デッサンを学び、木目込み人形の伝統技法に現代感覚にあふれる「真多呂らしさ」を作品に盛り込んだ、雅やかな逸品を世に生み出しております。
全国節句人形コンクール 受賞歴
平成元年 | 通商産業大臣賞受賞 | 平成4年 | 文部大臣賞受賞賞 |
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平成6年 | 東京都知事賞受賞 | 平成9年 | 文部大臣賞受賞 |
平成10年 | 通商産業大臣賞受賞 | 平成11年 | 中小企業庁長官賞受賞 |
平成14年 | 文部科学大臣賞受賞 | 平成16年 | 経済産業大臣賞受賞 |
平成17年 | 文部科学大臣賞受賞 | 平成18年 | 東京都知事賞受賞 |
平成19年 | 経済産業大臣賞受賞 | 平成20年 | 文部科学大臣賞受賞 |
平成21年 | 経済産業大臣賞受賞 | 平成22年 | 経済産業大臣賞受賞 |
平成23年 | 経済産業大臣賞受賞 | 平成24年 | 関東経済産業局長賞受賞 |
平成25年 | 内閣総理大臣賞受賞 |
二代目 金林真多呂 プロフィール
幼少より人形制作に親しみ、日本の伝統芸術に興味をもち、父 先代真多呂について技術を学ぶ。彫塑やデッサンを学び、人形制作を総合芸術として高め、従来の人形師の枠を超えた近代性を備えた制作者として評価を得ている。
略歴
二代目真多呂は、安田周三郎氏に師事して塑像を学び、さらに澤田政廣氏に師事してデッサンを学び、伝統的な人形制作を総合芸術に高めました。
人形の原型はすべて二代目・金林真多呂の手によって一体一体丹念に作り上げられています。
もちろん完成に至るまでの工程もすべて手づくり。素材は国内産のものにこだわり、多くの専門職人が作業を分担し、魂を込めて芸術の息吹を吹き込んでいます。
だからこそ、真多呂人形はいつまでも飽きのこない、眺めれば眺めるほど味わい深い逸品に仕上げられるのです。
昭和7年 | 東京に生まれ、幼児より父初代 真多呂について人形制作を学ぶ。 |
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昭和30年 | 慶應義塾大学卒業。在学中より日展評議委員 故 安田周三郎氏に塑像を学び日本芸術院会員 故 澤田政廣氏に師事してデッサンを学ぶ。平安朝風俗人形をはじめ、創作木目込み人形を数多く発表。 |
昭和44年 | 株式会社 真多呂人形 代表取締役社長 |
昭和47年 | 二世 真多呂を襲名と同時に 真多呂人形学院長 |
昭和53年 | 通産大臣指定の伝統工芸士の認定を受ける。 |
昭和61年 | 東京都ひな人形卸商協同組合理事長 |
昭和63年 | 社団法人日本人形協会会長 |
平成10年 | 藍綬褒章授章 |
現在 | 株式会社真多呂人形 会長/真多呂人形学院長 社団法人日本人形協会 名誉顧問 |
真多呂人形 こだわりの職人名鑑
真多呂人形では、熟練の職人たちが一つ一つの人形に鍛え上げられた技を放っています。そんな職人たちの横顔をお伝えします。
西野 孝一 職人歴:60年
戦前から木目込み人形一筋、まさに筋金入りの職人です。叔父が真多呂人形の絵師だったことをきっかけに、この道へと進みました。人形から小道具まで、何でもつくれてしまう経験の持ち主。
主な担当は筋彫り。筋彫りとは、布を木目込んでいくための溝作りです。筋彫りは、仕上がりのよしあしに影響する大事な工程。布の厚みをイメージし、木目込みやすくかつ出来栄えが美しくなるよう、彫りの深さを絶妙に調節してゆく ―― 人形界でも西野にしかできない熟年の技の1つです。
加藤 守利 職人歴:30年
「何年やってもいつまでも下手だね」とはにかむシャイな絵師。
加藤の職人歴は、絵師一筋30年。黙々と着物や小道具の模様を描き込んでいきます。センスの良さはピカイチ。箔押しなどの技術も確か。持ち前の器用さを活かし、図案も作成します。
山本 晋也 職人歴:20年
営業マンを経て、「ものを作る仕事がしたい!」という情熱で木目込み人形の道へ飛び込んだ異色の職人。
主な担当は原型の型取り。一言で型取りと言っても、最近の人形は大変複雑な形状をしていますので、簡単な作業ではありません。湿度や温度によって型の固まり方も変わるため「どうやったらキレイに抜けるか」を、その時々の状況を見極めて綿密に調整しています。
三谷 乃理子 職人歴:12年
三谷の担当は衣装のコーディネート。西陣織屋さんもビックリの知識を武器に、布の組み合わせを考え、それぞれの人形に合わせて生地を裁断、コーディネートしています。
きちんとした時代考証を踏まえつつ、今年の傾向も見定めます。伝統と現代の融合の中で、落ち着いて上品、明るく格調のある「真多呂らしさ」を盛り込んでゆくことが役目です。